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漢詩 ~顧況作、囝~

2010,8

「囝(ケン)」は子供のこと。唐代の詩です。
この時代、貧しい家の子供は官吏に買い叩かれ、奴隷として売られていました。

子を囲むと書くこの字。
漢字は雄弁です。

【意訳】
※素人訳です。あしからず※

参考:『中国名詩選』松枝茂夫編(1986年/岩波文庫)

*****

一人の子供が福建地方に生まれた。
地方の官吏はこの子を安く買い入れ、陽物(男根)を切って奴隷とし
奴隷を売買して財を蓄える。
髪を切り落とし、枷をはめて、まるで草木のようにしか見ていない。

天は私たちがこんな目に遭っていることを知らない。
神は彼らがあんなにいい思いをしていることを知らない。

郎罷(ろうは/子供の親)は子供に別れを告げる。
“私はお前を生んだことを悔やんでいる。
お前が生まれたとき、人は殺すようにと勧めた。
しかし私がそのときその忠告を聞かなかったために
今このような苦しみを味わうこととなってしまった。”

子供は郎罷に別れを告げる。
心は引き裂かれるようで、血の涙が滴る。
“もうこれきり、天と地ほども離れてしまう。
あの世に行くまで、もう郎罷には会えないんだね。”




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