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漢詩 ~楊維楨作、貧女~

2012,11

元末~明初を生きた詩人、楊維楨の「貧女」です。
貧しさに苦しみながらも貞節を守り抜く女の悲哀とその誇り高さをたたえています。

息抜きに小一時間で描いた絵なので名詩と合わせるなんて失礼の極みのような…
よく考えずに描いてたので、出来上がってみたら琴を弾じる手が左右逆でした。ひどすぎる~

【意訳】
※素人訳です。あしからず※

参考:『中国名詩選』松枝茂夫編(1986年/岩波文庫)

*****

西の家の女は貧しさのため操を売った。
東の家の女は貧しく親も無かったが、美しさは世にまたとなく
江南の地でも佳人として称えられていた。
夫は礼を厚くして結婚を求め、結婚して三日で辺境の守りのため
懲役されて去っていった。
それからの彼女は、豊かな髪をふたたび梳ることなく
立派な琴も、聞いてくれる人がいない以上弦を張ろうともしない。

朝に城門の南の路傍(?)で桑を採っていると、通りすがりの男が
黄金でもって彼女を買おうとして求める。
彼女はたとえ黄金を積まれても身を売ることはしない。
夫を思い、西山に登って良人のいる空を眺めるのだ。
しかし夫の生死は彼女にはわからない。
家の門には徴税の役人が訪れ、辛い思いをしている。
舅姑も相次いで亡くなり、とうとう彼女は天涯孤独の身となってしまった。
夜な夜な薄明かりのもとで寒さに震えながら機を織り、涙に咽ぶ。

身を売った西家の女は傾城といわれるほどの妓女となって
黄金で身を飾り、刺繍を施した肌着を身に纏えるほどの生活をしている。
しかし東家の女はただただ貧しさに苦しみながらも、その玉体を
北国の人買いの手には渡さなかった。

さぁ、君のために琴を一曲弾じよう。貧しくても操を守り続けたあなたのために。
あたら紅顔を人の目に触れさせず埋もれさせてしまったあなたのために。
見るがいい、人の世でももてはやされてはおとしめ辱められる、
栄枯盛衰は繰り返されている。
かの漢の陳阿嬌だって、若いうちは帝に愛されたとて
老いたらまさに黄金の館にいたずらに閉じ込められたではないか。




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